

背広の上着を背中向けにして、衿を立てると衿裏布(カラークロスと呼ぶ)が見えます。
この部分の縫い目の線(横向き)と、背中の縫い目(縦向き)の交差点を
『O点』と呼んでいます。 人の体に当てると、頚骨(背骨の出っ張り部分)を
首の上から数えて“3つ目”の骨の出っ張りです。
O点は背広服の寸法を決める上で重要な箇所で、
また“服の着心地”を左右する点でもあるのです。
O点から背の縫い目に沿って裾までの長さが『上着丈』であり、
肩の上の縫い目と袖付け線の交差点の左と右を、
O点を通って結んだ線の長さが『肩幅』です。
上着丈線のカーブの具合や、肩幅線のカーブの描き方の違いが着心地の違いになります。
イタリアの縫製職人(サルトリア)の間では「背広はO点で着る」 といわれるくらい、
O点は重要で注目すべきポイントなのです。
ところで、表題に我われ「メジャーマンの宝」と書いたのには理由があるのです。
メジャーを地面に水平に広げてO点に当て、左右の肩先との隙間の長さを見ます。
その長さが「6cm」であると標準ですが、
「6cm以上」であれば『撫肩(下り肩)』、「6cm以下」なら『怒肩(上り肩)』です。
撫肩は「型紙補正」や「厚い肩パット」、怒肩は「型紙補正」や「薄い肩パット」の指示をします。
また、横に回ってO点と『肩甲骨』から垂直に上に伸びた線との水平距離を見ます。
やはり「6cm」が標準で、以下だと『反身』、以上だと『屈身』と判定できるのです。
既製服より優位性を持ちえるポイントは、お客様のご要望を伺えるだけでなく、
我われの「観察眼」によって、もっと着心地のよい服を仕立てられることにもあります。
O点は、我われの技術力を発揮させてくれる大切な「宝物」なのです。